「土方歳三無頼控 五 バラガキ・苦悩」潮美瑶 文芸社

十年後、俺はどうしているだろう? (中略)あれから二年、俺は少しも変わっていねえ。今春、看また過ぐ・・・。


とうとう五巻まで来ましたね。この巻で沖田総司が十八歳になりますから、京都で新選組として活躍する時まであと約二年。まだまだお話が続けられそうですね。しかし、潮美先生、新聞連載並のスピードで続きを刊行されますね。すっかりこの「無頼控」のファンになった私にとっては嬉しい限りです。文芸社さん、がんばって、続々刊行してくださいませ。

今回のお話は歳三様の若い頃の色恋ざたが関係してくる「横恋慕」、芳春先生大活躍の「巧名」、そして山南敬助の「弱さ」と「過去」が浮き彫りになる「血闘」の3つです。相変わらず半七捕物帳のような江戸風謎解きの面白さが楽しめます。それとこのシリーズ独特のブラックさも健在ですね。おどろおどろしいというか。人間の内面の怖さにぞっとするというか。

謎解きに奔走する歳三様と沖田総司くんのコンビも健在なのですが、時々、「不機嫌な柴犬のような」斉藤一もついてきます。今回は、あまり、歳三様と総司くんの絡みがなかったなあ。会話が多くなかったというか。いえ、試衛館のメンバーの中では、歳三様のことを一番慕って、その心情をよくわかっているのは総司くんなのですよ。ただ、二人だけのシーンや会話が前の巻よりも(一巻目から比べると特に)少なくなっていて、歳三&総司コンビが大好きな私にはちょっと残念でした。

でも、仕方ないのかなあ。登場人物が増えたものねえ、一巻目から比べると。京都で新選組を作るときのメンバーがほぼ勢揃いしましたので。今回は、伊東甲子太郎まで出てきました。ま、あの人は江戸で道場開いていましたし、山南さんと藤堂くんと同じ流派ですから、まあ、江戸時代に、試衛館と交流が少しあったとしても、完全フィクションではないでしょうが。

伊東さんが出てくるのは「血闘」です。このお話は、山南さんの仙台時代の過去や、伊東さんとの関わり、そして山南さんの優しすぎる心が、メインテーマ。つまり、山南さんの章といっても過言ではありません。山南さんの優しさがいつか命とりになる時がくるのではないか?歳三様はそう懸念します。京都での山南さんの行き先を暗示したお話になっています。読んだあとに、なんだかしんみりしちゃいます。

相変わらずの歳三様の美男ぶり、いなせぶり、喧嘩巧者っぷりにホレボレします。でも、冒頭のセリフのように、歳三様の心に無為に過ぎていく(いえ、それほど無為でもないのですが、武士にはなれていませんからね)日々へのあせりが生まれていきます。

このシリーズ、文京区・台東区の地名がたくさん出てきて、文京区民の私にとっては、これもこのシリーズを読む楽しみの一つ。今回も湯島天神の梅がいい味だしていました。あそこは私も毎春梅を楽しみに訪れるご近所スポット。本当に歳三様も湯島天神の梅を見たのかもしれない、と思いながら読むのも、また一興。それからこのシリーズを読むと、蕎麦屋へ行って、天麩羅蕎麦を食べたくなります、無性に。


今の私の願いは、このシリーズが映像化されること。NHKさん、時代劇の原作として、このシリーズは最適ですよ!45分枠に一話ごとにうまく納まりそうですし、起承転結が作りやすいし、ロケも近場ですからしやすいですよ!それに土方歳三様が主役となれば、視聴率も間違いありませんよ!どうか、映像化してください。お願いします。



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 3

ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック